JAniCA Watchへの1/60秒計の搭載について
対象となるアプリ
最終更新日:2010年10月04日
詳細
プレスリリースでもご案内していますが、サイフォンでは、1/60秒計測ストップウォッチに関する、ゲーム開発者の皆様のご意見を募集しています。本調査がまだ十分に行えていないことと、1/60秒計測を行うには大きく実装を変えざるを得ないことから、2010年11月4日に行ったバージョン1.1のアップデートでは1/60秒計測の搭載を見送りました。本エントリーでは、現状の弊社の見解を公開いたします。
ゲームにおける60FPS
ゲームにおけるフレームレートとはすなわち、そのゲームを映し出すディスプレイ(一般的にはテレビ画面)のフレーム周波数のことを意味し、ディスプレイの伝送方式に依存しています。伝送方式はひとつひとつの走査線が描画される順番の違いによって、インターレース方式とプログレッシブ方式(ノンインターレース方式)に分けられており、走査線の描画が一区切りする単位をフィールド周波数と言います(詳しくは専門書をご覧ください)。簡単にいうと(少々語弊はありますが)、インターレース方式ではフィールドが2回描画されると1フレーム分を描画したことになります。ですから基本的には、映像は30fpsで制作されています。ハイビジョンでも、一部のハイエンドカメラなどの例外を除いてこの原則は変わっていません。
しかし、動きの激しいアクションゲームなどでは、1フレームずつ画像を伝送すると、1フィールドごとの描画ズレが生じる場合があります。これがチラツキや画質の低下につながるため、ゲーム業界では60fpsを標準としてグラフィックスの描画を行ってきました。近年ではプログレッシブ方式の普及により、60fpsを採用することがますます多くなっています。
しかし、このようなフレームレートでの厳密な演出管理を行う事例は極めて稀だと弊社では考えています。その理由としては、以下のような理由が挙げられます。
- 上記にもある通り、通常の映像制作では30fpsで十分であること。
- 60fpsに対応している理由の多くは、ディスプレイの伝送方式に依拠した1フィールドごとの描画差の問題であり、グラフィック描画エンジン側で処理すべき問題で、演出管理の問題ではないこと。
- このような問題に対処するため、ゲーム開発キットには描画時間計測ソフトが内蔵されていること。
- そもそも手計測で厳密に60fpsを制御することはできず、目安にしか過ぎないこと
- 多くの演出は、0.1〜1秒程度のスケールで行われていること。
ただし、上記の見解はあくまでも弊社の見解です。弊社はゲーム開発会社ではないため、現場の実務的な見解を共有してはおりません。「いえ、そうではないんです」というご意見をお持ちの方は是非、弊社まで詳しいご意見をお寄せいただければ幸いです。ゲーム開発者・演出家の皆様のご協力をお待ちしております。